『少年と犬』馳星周

目次は
「男と犬」
「泥棒と犬」
「夫婦と犬」
「娼婦と犬」
「老人と犬」
「少年と犬」
と、6つの物語に分かれているが、登場する犬はすべて同じ。
目的地にたどり着くまでに、飼い主の間を転々と放浪しながら犬の話は続いていく。

旅の途中に人家はいくらでもあったはずだ。なぜ、弥一の家にやって来たのだろうか。孤独のにおい、死の匂いを嗅ぎ分けたからではないかと弥一は思う。

という記述にあるとおり、この犬の新しい飼い主になる者達はみな、孤独や犯罪や死の香りがする。そんな飼い主に寄り添い、また転々と飼い主を変えながらも、ある目的地に向かって旅立つ。

「男と犬」では、家族のために犯罪に手をそめる男をハラハラしながら見守り、
「泥棒と犬」では、生きるために悪事に手を染めざるを得なかったミゲルという外国人に同情し、
「夫婦と犬」では、ラストで出来損ないの夫に対して「ざまあみろ」とスカっとして
「娼婦と犬」では、女の秘密に驚き
「老人と犬」では、決して家庭的でなかった老人になぜか感情移入した。

それぞれの飼い主を元を経たあと、最後の目的地に到着した犬。

これほど賢い犬もいるのなら人間の生涯の友になれるんだなと、改めて犬という動物を見直した。

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