『ソロモンの偽証 第Ⅰ部 事件』 宮部みゆき

クリスマスの朝、中学校で男子生徒の死体が雪の中で発見された。

当時は自殺だとみられていたが、殺される場面を見ていたという告発状が届き、攪乱させられる。

教師、生徒、保護者、報道陣が複雑に絡み合い、真相を究明している間にも、また次々と不幸な事故が起こっていく。

一つの嘘が取り返しのつかないことになったり、一人の被害妄想者が、勝手に思い込んで行動したことにより、真相はより複雑化していく。

ここからは個人的な感想。

三部作なので、このあとまだ2冊読む楽しみが残っている。

登場人物の中学生の中でも、それぞれの家庭や性格が描かれていて、頭の切れる女子、どんくさい男子、家庭に問題をかかえた暗い男子などが出てくるが、どんくさい男子からの目線も、案外的を得ていることがあって反省させられたりする。

例えばそのどんくさい男子は、太っていて成績もよくなく、スポーツもダメ、せめて音楽や美術ひ秀でていたら格好がいいものを、それもダメ。

担任からはうんざりという目で、学年主任からは厳しい目で見られているが、校長先生だけは違う。ということを、どんくさい男子であっても、ちゃんと感じ取っているわけだ。

言葉に出さなくても、子どもであっても相手に伝わってしまうのだなと思うと、普段仕事でまともに挨拶しない人にも、わざとらしくならない程度に、「ちゃんとあなたの存在を認めていますよ」という気持ちで接していこうと思い、そうしたら、やはり人間関係も良くなっていくんだなと実感するものがあった。

小説は架空の話で、理系の人達からは、何の役に立つのだ?という意見も聞かれるが、人から諭されるよりも、自分から気が付いて治していけるきっかけになるのだから、これほど役に立つものはないと思った。


ソロモンの偽証 第I部 事件


ソロモンの偽証(〔1〕(第1部)) 事件 上巻 (新潮文庫) [ 宮部みゆき ]

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