『上京物語』喜多川泰

大学進学のために上京する息子のために、父親が書き記した手記を、新幹線の中で息子は読む。
手記の前半は、小説仕立てになっていた。
その小説は普通の小説とは少し違っていて、違和感を感じながらも読んでいた。
自分と同じ名前の主人公が悩み、苦難に直面しながらも、努力していく姿を応援しながら読んでいたののに、ラストが情けないものだった。
なぜ父親は自分と同じ名前の主人公をこういう結末で描いたのかと腹立たしく思いながらも後半を読むと、息子には、こうならないようにという父親からの助言の数々だった。

一部抜き出してみる。

メディアも教育も「消費=富の証」:という考えを植え付けるシステムになってしまっている。
そうしないと国も企業も成り立たないからだ。
一部の人を成功者にするために消費者となってしまう。

他人のもっているものを自分が持っていないと不安に駆られる。
本当に欲しいのか分からないままに、他人と比較して、それを手に入れなければ恥ずかしい、幸せになれないと思い込む。
私たちは、まんまと企業の戦略に引っかかり、消費者になっていく。

他人となんか比べなくても、昨日の自分よりも一歩でも前進しようと努力している時、人は幸せを感じるようにできているんだ。

比べるなら他人とではなく、昨日の自分と比べるんだね!

筋トレ」を続ければ誰もがきれいに割れた腹筋を手にできるように、「心トレ」によって、心を強く、明るく、美しくすることは、すべての人ができることなんだよ」

筋トレの効用は、最近の筋トレブームで知っていたが、まさか心トレまでが、筋トレと同じように日頃の鍛錬で誰もが手に入れられるとは、いいことを知った。

人生を変えるのに長い時間はいらないんだ。価値観なんて数時間で変わってしまうものなのさ。
たった一冊の本との出会いによって。

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