『純平、考え直せ』奥田英朗

この作者の本ということだけで、内容知らずに読み始めたら、ヤクザの話だった。

「一度グレてみたかった」などと言い出す元大学教授とか、ヤクザよりもヤクザらしい刑事とか、周りの人物も面白かった。

純平の兄貴分が喫茶店で純平を待っている間、ヤクザの雰囲気を消しさって周囲に溶け込んでいるのはさすがと思った純平。しかし、だんだん声が大きくなり「オレたちヤクザはな」と周囲をはばかることなく話だし、周りを怯えさせるところが面白かった。

ラスト、鉄砲玉を決行する前夜の麻薬によるトリップ。
身体の奥底から、マグマのような塊が出現し、全ての近くが鋭くとがった。
手で頬を触ると、毛穴の存在までもがはっきりとわかった。
すべての音が泡立って体にぶつかってきた。無数のゴム鞠が飛び交う中に身を置いている。
色彩が鮮烈だった。踊る男女の衣装は万華鏡のようにカラフルだ。
えもいわれる幸福感が、泉が湧き出るように体の中を満たしていった。
天国があるならこういう場所かもしれないと思った。不安な気持ちが微塵もないのだ。
ジェットコースターのような浮き沈み、脳みそが左右に揺れる。
色彩がメリーゴーランドのように回っている。

こういった描写が面白かった。
向精神薬を飲んだだけじゃ味わえない強烈な麻薬の力。
不安がなくなり多幸感が得られるなら、薬物に興味が出てくるがやってみる勇気はない。
多幸感で調べてみたら、薬物に頼らなくても他にいろいろ方法があるみたいなので、ちょっと調べてみよう。
この本を読んだことで、こういう流れにつながっていくとは。
読書ってすごく影響を受ける。

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