『老害の人』内館牧子

老害の特徴、孫自慢、病気自慢、昔話、説教、自分語りなどで老害をまき散らしていく6人の年寄りが、それぞれ個性の強い老害をまき散らしていく。

老害である父親が、自分はまだ現役のつもりで息子の会社に多大な迷惑をかけ、娘がブチ切れて、父親に言いにくいことをズバっと言ってのける。そこで反省したと思いきや、父親は新たな計画を練る。

孫自慢をする女友達に辟易している主婦の言い分はこれだ。

だいたい、我が子や孫を自慢するヤツらの多くは、「親バカですけど」とか「バババカで」「ジジバカで」を前ぶりする。そう振っておけば、ジョークめいてチャラになると思っているのだろう。なるものか。バカどもが。

その友達が大真面目に自慢するのが、孫がシンデレラで電柱の役をやるということを「すごいのよ」と自慢するので「その時代に電柱?」(役を与えるための苦肉の策としか思えない)と言ってしまい友達を怒らせてしまうが、それで終ってもいいと思った。
しかし自分に孫ができると、友達の気持ちが痛いほど分かったのだ。
それでも、孫の可愛さを吹聴するのは、身内だけにとどめるべきだ。他人にとってはどこがかわいいのか分からない人の孫を、かわいいと言わざるを得ないので。

「世の中で一番つまらねえのは毒にも薬にもならなねえ人間だって。人間として生まれた以上、人は毒か薬かにならにゃいかんのよ。どっちにもなれねえ人間は魅力というものがまったくないんだ」

聞きたくもない話を延々と聞かされるのは、若い人にとっては毒でしかないが、それを語る年寄りにとっては薬であり生き甲斐。

毒でも薬でもないような人間はつまらない。少々害を振りまこうが元気でいられるのなら、許してほしいところだが、迷惑になることも念頭におかなければ。
いずれ自分も老害となるので、その辺はわきまえていきたい。

自分たちは、自分の趣味や自分磨きのためではなく、老人を元気にするために生きるのだ。

老人をおとなしくさせるために、趣味をしろだの言うが、そんなことよりも、社会に貢献しているということが、生き甲斐になり、認知症予防にもなるそうだ。
これは老人に限ったことではない。
そう思うと、仕事をしていたり、町内の役割を担っていたり、何かしら社会と繋がっていることは、とても大事なのだと思った。

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