『おらおらでひとりいぐも』若竹千佐子

先日、あさイチで著者の若竹千佐子さんが出ていた。
夫を亡くした妻の寂しさ、死んでしまってもう二度と会うことができない、声も聴けないという苦悩を何年も超えてきた上でたどり着いた、「今は一番安全な場所にいるんだから」という言葉に納得するものがあって、この本を手にとった。

たしかに、死んでしまったら、これ以上病気で苦しむこともない、事故に遭うこともない、辛い経験もしなくていい、最も安全な場所にいるという考えに、

東北弁で語られている朴訥でもあり、率直でもある文章で、芥川賞を受賞している。

たとえ好きなことでも持続するのは本当に難しいのだと骨身にしみていたし、逆にあれほど心を傾けられることが本当に好きということなのだと分かってきた。他人には意味もなく無駄とも思えることでも夢中になれたとき、人は本当に幸せなんだろうとも思った。

本の中の桃子さんは、人を観察するのが子供の頃から大好きだ。
夜行列車の中でお酒を出して飲んではまた丁寧にしまい、また出して飲んでは丁寧にしまいという同じことを繰り返すおじさん、または病院の待合室で一心不乱に探し物をし続けているおばあさん。
この人たちの一見無意味にも見える行動も、本人にとっては幸せなんだと。

人は独り生きていくのが基本なのだと思う。そこに緩く繋がる人間関係があればいい。

子供にも頼らず、緩くつながる友達がいて、自分の夢中になれることで幸せを感じながら生きていければいい。

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