少女が手にした本は、『あなたの本』
中を開くと、あなたは…と二人称で書かれている。
内容も「あなた」つまり読んでいる私が経験した怪談めいた話が、幼少期から順番に書かれており、こんなこともあったと思い出しながら読んでいるうちに、現在に追いついてしまい、この先どうなっていくのかわからいため慌てふためく。
短編がいくつもより合わさって長編になったようなお話で、その中で一番好きな短編は、『異世界にいく方法』という題のエレベーター怪談。
仕事に疲れたOLがカフェでため息をついていると、横の男性から、悩みも苦しみもない世界に行く方法を伝えられる。
エレベーターに乗り、4階、2階、6階、2階、10階の順に行き、その間に誰かが乗ってきたらその時点で失敗。
乗ってこなかったら5階に行くと、赤い服を着た女性が入ってくるが、絶対に話しかけてはいけない。
そして1階に行くと、なぜか10階に着いてしまう。
赤い服の女性はそこで下りて、こちらを振り、手招きをする。彼女も降りようとして、ハっと思いとどまる。
もしここで降りてしまったら、悩みも苦しみもない世界、つまりあの世ということなんじゃないかと。
ゾっとして、こうなったら死ぬ気で頑張ってみようと思い、1階へ戻り、ドアが開き、足を一歩踏み出すと・・・
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