『東京島』桐野夏生

最近、無人島の殺人ものにハマっていたが、これは無人島のサバイバルもの。
昔読んだという記憶と、それが面白かったという記憶があったのでまた読んでみた。

無人島に命がらがらたどり着いた先には31人のうち女性はただ一人という生活が待っていた。
もともとは大人しい性格だったのに、唯一の女性、清子はここに来てからは、捕まえた蛇をブンブン振り回し、これを食えとたじろぐ夫に勧めるなど、サバイバル精神をみごと発揮するのだった。

船を作った中国人グループと島を抜け出そうとしたり、冷たい飲みものが飲みたくて発狂しそうになったり、(実際発狂していく人もいる)、落ち込むことはあれども、物事を単純に考え、生き抜くためには人を出し抜いても、裏切りも平気でやり、いやなことをされても麻痺していき、したたかに生きていく清子の性格が豪快で痛快で楽しい。

これを読んだあと、音楽を聴いていたら、無人島に音楽を聴ける媒体があったらどんなにか楽しいだろうかと思ったけど、逆に生き延びていくために必ずしも要るのかと問われれば、なくてもいい音楽。でも、無学のワタナベが隆の航海日記を暗記するほど読み返して脳内で反芻して楽しんでる様子を思うと、娯楽のない無人島では音楽は強烈な生きがいになると思った。
そして誰も来る気配のない海に向かって絶唱している自分の姿まで思い浮かんできた。


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