『幽霊人命救助隊』高野和明

自殺によって一旦死んだものの天国へ行けずに宙ぶらりんになっている4人の前に、神が現れ、地上の100人の自殺者を49日の期間内に救えば、天国へ連れていってやるという条件に、4人の幽霊たちは、再度地上に降り立つ。

まさにこれから自殺をしようとする人を見つけ、体の中に入り、心の声を聴く。

他人から見たらたいしたことのない悩みであっても本人にとっては自殺まで追い詰められたりする。

友達ができない男子学生や、いじめを受けている小学生、多額の借金を抱え、自分にかけられた保険金で家族を救おうと自殺をしようとする人・・・。

勉強になったのは、樹海で死ぬと死体が発見されないので保険金が下りず、せっかくの自殺が無駄になること。それに気づいた幽霊が「大変だ!死に損だぞ!」という現実的なアドバイスもいい。

救助隊たちは自分も自殺したにもかかわらず、自殺することによって出てくる損失を計算し始め
「お金のために死ぬのは損。低賃金でも、長く働き続けた者が人生の勝利者となる」
という結論を出すに至る。ここを読むだけでもこの本を読む価値ありかも。

一度本気で死のうとしたからこそ、自殺を思いとどまった後、生きていて良かったと涙ながらに思えるのだろう。

私もこんな面白い本を読めるので生きててよかった。


幽霊人命救助隊 (文春文庫)


13階段 (講談社文庫)


ジェノサイド 上 (角川文庫)

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