『明るい夜に出かけて』 佐藤多佳子

大学を休学中、コンビニでバイトをしている接触恐怖症の男子学生・富山と、偶然コンビニで注意しようとしてであった、変な女子高生・佐古田。

共通の話題はラジオだった。

接触恐怖、女性恐怖の富山は、釣り銭を渡すときに手が触れるだけでもパニくる。一度触れてしまい、大騒ぎを起こしたこともあり、「富山くんってホモ?」とか「トミヤマって口が不自由な人?」とまで言われる。

一方、佐古田は、「少年ジャンプ」を縛ってあるゴムをはずしてまでガッツリ最初から最後まで立ち読みし、スタミナドリンクをレジに持ってきたところで、ゴムをだらんと手首に巻かれていたので注意しようとした矢先に、ラジオリスナーでしか分かり合えない缶バッジを目にしたのが出会いのきっかけだった。

女子高生の最初の一言が「ぬお?」

バイトの同僚に「女の子とリラックスして話してたじゃん」と言われて「女の子じゃない!あれは、サイコだ!」

「人間的には致命的エラーだぜ」

可愛いのに目つきが尋常じゃない。

こういうコミュ障というか、社会不適合者的な、目つきが尋常でないとか、うまく生きられない系の人間に出会うと嬉しくなる。
なぜなら 「ああ、自分よりも変な人がいた。大丈夫。私はもっと変でもいいんだ。遠慮しないで変になっていていいんだ。」という妙な安心感、解放感、希望が湧いてくるからだ。

最初の一言が「ぬお?」とは最高ではないか。

ラジオネタがこれでもかと出てくるので、ラジオ愛好家にとっては、涙が出るほど嬉しいだろう。ラジオを知らなくても充分楽しめるので、ラジオオタクならば二重に楽しめるお得な小説であることは間違いない。


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