職場の休憩室で、どういう経路か、ペットの話題になった。他の話題と違って、この話題は何も差支えないばかりか、ペット好きなら誰もが盛り上がる話題だ。職場の不満、人の噂話、政治や宗教、利害が関係する話題、こういう話に比べれば、ペットの話題は、なんて純粋に楽しめて、無難で便利なのであろうか。
ハムスターを飼い始めたという人。つがいではなく、一匹だけなのだという。私としては増やすのが趣味なので、つがいで飼わないのかと訊くと、「とんでもない」とのこと。ハムスターは爆発的に増えそうだから、つがいは覚悟がいるか。
私は昔、セキセイインコを飼っていた。ヒナの時につがいで飼って、オスの方がよく人慣れして、外で間違って籠の外に出てしまった時も、逃げ出さずに人の肩や手の上にとまっていた。巣箱を入れると、卵を産み、そのうち中から「シュルシュルシュル」というか細い声が聴こえてきた。小さかった私はどうしても、中にヒナがいることが信じられずにいたが、やがて、籠には２匹しかいないはずが、なんと３匹いるではないか！やはりヒナがいたことは間違いなかったのだ。親鳥と同じような大きさなのに、親から口移しで餌を食べさせてもらっている。やがて中から４、５匹出てきた。そうなると、親は、今度は子供を追い出そうとするのか、攻撃してくるので、別の籠に移した。一通りヒナが巣立つと、巣箱の中のフンなどのゴミを、自分で外に出してきれいにし、また次の巣作りを始める。メスはずっと卵を抱いているので、お尻の毛がなくなり、みすぼらしい姿になるので、もう卵は産まなくていいよと思っていた。生れたヒナは、友達にあげたり、ペットショップに持っていったり、中学校に持っていったりした。
大人になってからもまたセキセイインコを飼いたくなり、今度は一匹だけ飼った。ヒナから育てたので、手のりになってよくなついていた。ある日、なんやらグジュグジュとしゃべり始めて、何言ってるんだろう？とよーく聞いてみるとなんと「カワイイピーちゃん、カワイイカワイイピーちゃん」としゃべっているではないか！私がよくそう話しかけていたら、そのまま覚えてしまったのだ。仕込んだわけでもないのに。セキセイインコは頭がいい。しかも色がカラフルできれいだし、寒さにも案外丈夫だし、いいとこだらけだ。
私は一度、雀の群れの中に、一匹だけセキセイインコが混じって電線に止まっているのを見たことがある。なにせ目立つ色をしてるので。なんてたくましいんだと感心する。セキセイインコ最強！