娘達が小さかった頃、「どっちが可愛い?」という、とてつもなく答えずらい質問をしつこくされていて困り果てていた。しかも先を見越して「どっちも可愛いはダメだよ」とまで言われ、真剣に考えた末、「どちらも同じくらいに可愛いけど、Mちゃん(上の子)の方が先に生まれたから、Mちゃんの方が可愛いと思っている時間が長いね」と物理的に答えた。その答えに二人とも、妙に納得したのか、それ以来、「どっちが可愛い?」と訊いてくることがパタっと無くなったのだ。それはそれで寂しい。しかし、子供たちの中では、この質問と答えが完結したのだ。めでたしめでたし、と言わなければならない。
同じように答えずらい質問として「ぼく(わたし)、生まれてきて良かった?」というのがあるそうだ。お母さんのお腹の中に、あかちゃんができた時によくある質問だとか。両親の関心が、自分ではなくお腹のあかちゃんに向けられているのを敏感に察し、生れてきたら自分はどうなるのかという不安を感じ、この質問がされるのだろう。ここで生まれて初めて、嫉妬という感情が芽生えるのかもしれない。
私は、特に生まれてきて良かったよとは言ったことがないが、娘達が二人とも成人するような年になっていても、それぞれに素晴らしいので、ベタ褒めしている。